
ドラッグストアの棚に並ぶ「かかとクッション」「土踏まずパッド」「フラットなゲルインソール」、そしてクリニックで処方される「輪郭付き矯正インソール」 ― 見た目はどれも似ていますが、歩行時の足圧の分散効果には決定的な差があります。Foot Science International の研究レビューから、足底筋膜炎患者を対象に4種類のインソール/パッドを比較した足圧計測試験をご紹介します。
比較対象の4タイプ
- フラットインソール(クッション素材のみ、輪郭なし)
- シリコン製ヒールカップ(かかとを包み込むタイプ)
- 踵骨棘(bone spur)用パッド(中央にくぼみを作って圧迫を避けるドーナツ型)
- 輪郭付き既製の矯正インソール(Formthotics 相当) とカスタムメイド
方法
被験者は踵部に痛みを持つ成人。各インソールを装着して歩行してもらい、足底圧分布マットで中足部・踵部の接触圧・ピーク圧を測定しました。両足を測定することで、左右非対称な荷重パターン(痛い側をかばう代償動作)も評価しています。
結果 ― 踵ピーク圧の抑制効果
もっとも劇的な差が出たのが踵部のピーク接触圧でした。輪郭付き矯正インソールとカスタム矯正インソールは、かかとのピーク圧を左右両側で有意に低下させ、接触面積を中足部まで広げることで荷重を分散しました。これに対し、踵骨棘パッドはむしろ踵ピーク圧を増加させる結果となりました。中央のくぼみが実際の荷重ポイントと一致せず、「かえって一点集中させている」ケースがあったのです。
シリコンヒールカップとフラットインソール
シリコン製ヒールカップは踵ピーク圧を最も下げましたが、これは単に踵下に厚いクッションを敷いたためで、中足部への荷重分散は起こっていません。フラットインソールはかかとと中足部のピーク圧をわずかに下げるものの、圧の再分配効果はほとんど見られませんでした。
「クッション性だけでは不足」という設計思想
本研究は、インソールの効果は「柔らかさ」ではなく「輪郭」で決まるという Formthotics の設計思想を裏付けるものです。足底腱膜の起始部(踵骨内側突起)への牽引力を減らすには、中足部でしっかり荷重を受けることが必要で、これはフラットな素材では実現できません。熱成形で個々の足の形にフィットさせる Formthotics の方式は、カスタムの持ち味を既製品の価格帯で届ける合理的な解です。
選び方のヒント
「とりあえず柔らかいインソール」で痛みが改善しなかった方は、輪郭付き矯正インソールへの切替をご検討ください。セルフ判断が難しい場合は、提携医療機関でのフィッティングをおすすめします。

