熱成形インソールとは

インソール(中敷き)を選ぶときに出てくる「熱成形(ねつせいけい)」という言葉。温めると形が変わり、自分の足の形に合わせられるインソールのことです。このページでは、どういう仕組みで形が変わるのか、足型を取るオーダーメイドとは何が違うのか、そして家にあるドライヤーでどう成形するのかを順番に説明します。

熱成形インソールとは

熱成形インソールは、熱を加えるとやわらかくなり、冷えるとその形のまま固まる素材でできたインソールです。靴に入れた状態で温めて、実際に足を入れて立つ。それだけで、かかとの丸みや土踏まずのカーブがインソールに写ります。冷えると、その形で落ち着きます。

できあがるのは「自分の足と、いま履いている靴の、その両方に合った形」です。足だけを測って作るのではなく、靴の中で成形するため、靴側のクセも一緒に取り込めるのが特徴です。

市販の完成品インソールは、平均的な足の形をもとに作られています。よく合う人はそのままで快適ですが、土踏まずが高い人・低い人、かかとが細い人、左右で形が違う人は、どこかにすき間や当たりが出やすくなります。熱成形はその差を、買ってから自分で埋められるようにした仕組みです。

なぜ熱で形が変わるのか — 素材の違い

インソールによく使われる発泡素材には EVA(エチレン酢酸ビニル)があります。EVA は高い圧力をかけて成形して作られるため、あとから熱を加えても、元の形に戻ろうとする力が働きます。温めて足の形をつけても、そのうち元に戻ってしまう。だから EVA は、成形・再成形には向きません。

フォームソティックスが使っている Formax は、ポリエチレンの「クローズドセル(独立気泡)」発泡体です。気泡が一つずつ独立しているため、比較的低い温度でやわらかくなり、冷えたあとは新しい形をそのまま保ちます。何度温め直しても、そのつどの形を保持できます。

ブロックから削り出す

もうひとつの違いは作り方です。フォームソティックスは、型に流し込む圧縮成形や射出成形ではなく、発泡体のかたまりを立体的に削り出して(3D カット)作られています。圧力をかけないので発泡体の構造が傷まず、そのぶん熱成形したときに素直に形が変わります。

素材・構造の詳しい話は 他のインソールとの違い にまとめています。

足型を取るオーダーメイドとの違い

熱成形インソール 足型を取るオーダーメイド
作り方 完成品を温めて、履いた状態で自分の形をつける 足型を採取して、その人専用に一から作る
できるまで その場(家なら約 7 分、加熱機なら数分) 採型してから後日
作り直し 何度でも温め直せる。靴を替えたときも作り直せる 作り直しは基本的に再製作
靴との相性 その靴に入れた状態で成形するので、靴のクセも入る 足に合わせて作るため、靴ごとの調整は別途

熱成形は、この二つの中間にあたる考え方です。完成品の手軽さと価格のまま、自分の形に寄せられる。合わなくなったら温め直せる。そこが使いどころです。

家でのやり方 — ドライヤーで 6 ステップ

専用の機械がなくても、家庭用のヘアドライヤーで成形できます。全部で 7 分ほどです。

やけどに注意してください。温めた直後のインソールと靴の中はとても熱くなっています。熱風を近づけすぎないでください。足を入れるときは必ず靴下を履いてください。
  1. 今のインソールを取り出す靴に入っているインソール(中敷き)を取り出します。
  2. サイズとモデルを選ぶサイズ表を見て、靴に合うサイズとモデルを選びます。長さを詰めるときは、取り出した元のインソールを重ねて、先端だけを元のインソールより 8mm ほど長めにカットします。かかと側は熱成形で足の形に合わせて変わるので、短く切りすぎないでください。
  3. 靴に入れる入れにくいときは V 字に軽く折って入れます。全体が平らに収まっているか確認します。
  4. ドライヤーで温める靴の中が熱くなりすぎないよう、左右の靴を交互に 30 秒ずつ温めます。左右それぞれ 3 分、合計 6 分が目安です。温まると、触ったときにやわらかくなっているのがわかります。
  5. 足を入れて靴紐を締めるまっすぐ足を入れ、靴紐をしっかり締めます。靴下を履いてから足を入れてください。
  6. 立ったまま 1 分待つ足を肩幅に開き、膝を軽く曲げます。膝とつま先をまっすぐ前に向け、上から見て膝が人差し指の先に重なる姿勢のまま 1 分。冷えながら形が整います。

手順の図と動画は 使い方のページ、サイズの実寸とカットの手順は サイズガイド にあります。

温度はどのくらい?

数字で温度を測る必要はありません。家庭用ドライヤーで上の時間(左右交互 30 秒ずつ・左右各 3 分)を守れば、成形に必要なやわらかさになります。長く当てれば当てるほど良くなるものではないので、時間を延ばさないでください。オーブンや熱湯、直火は使わないでください。

成形したあとのポイント

はじめは短い時間から

立体的に成形されたインソールは、はじめは少しきつく感じることがあります。最初の数日は 1 日 2 時間程度から始めて、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしてください。感じ方には個人差があります。

使いながら、さらになじむ

熱成形した時点でかかとや土踏まずの形は写りますが、そのまま履き続けると体温と体重でさらになじんでいきます。成形直後よりも、2 週間ほど使ったあとのほうが自分の形に近づきます。

何度でも作り直せる

フォームソティックスは、繰り返し温めても新しい形を保持できます。靴を替えたとき、フィット感を整えたいときは、もう一度成形すれば作り直せます。

取扱店・提携医療機関での熱成形

取扱店や提携医療機関では、専用の加熱機(Formthotics V20)を使って数分で成形できます。靴に触れずインソールだけを温めるので、靴への負担も抑えられます。サイズ選びやカットも一緒に見てもらえます。作り直し(リモールド)も相談できます。

製品を探す 用途別の製品一覧は スポーツ用インソール一覧。ランニング、サイクリング、登山、スキー、サッカー、立ち仕事など、用途ごとに形と硬さが違います。

サイズを調べる 実寸(mm)と靴サイズの対応表、厚さ、カット手順は サイズガイド。

相談する 選び方に迷ったら お問い合わせ から。提携医療機関でフィッティングを受けるメディカルラインについては メディカルライン をご覧ください。

よくある質問

失敗したらどうなりますか?

もう一度温め直せば成形しなおせます。温めるとやわらかくなり、冷えるとその形で落ち着く素材なので、成形は一度きりではありません。ただしカットした長さは戻せないので、切るときは短くしすぎないでください。

ドライヤーでなく、オーブンやお湯でもいいですか?

おすすめしません。家庭で行う場合はドライヤーを使ってください。取扱店・提携医療機関では専用の加熱機(Formthotics V20)を使います。

靴を替えたら、また成形が必要ですか?

同じサイズの靴なら、そのまま移して使えることが多いです。靴の形が大きく違うとき、フィット感が変わったと感じるときは、新しい靴に入れて成形しなおすと合わせられます。

熱成形しないまま使ってもいいですか?

使えます。新品のままでも、体温・体重・運動によって少しずつなじむように作られています。すぐに合わせたいときにドライヤーで熱成形します。

どのくらいもちますか?

使う頻度・体重・運動量で変わります。素材がへたってきた、かかとや土踏まずのサポート感が薄くなったと感じたら交換の目安です。取扱店で見てもらうこともできます。

左右で足の形が違います

熱成形は左右それぞれの靴の中で行うので、左右で違う形になります。そのための仕組みです。

本製品は医療機器ではありません。正しいサイズを選び、熱成形したあとも長い時間痛みや違和感が続く場合は、使用を中止し、医療機関にご相談ください。感じ方・使用感には個人差があります。